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第8話:勘治こけしへの想い

S26__20200528171201 鳴子に戻ってからの福寿は自身のこけしを作るべく色々と考えを巡らしていたが、その根底には秋田で見た勘治のこけしの朧げなるイメージが見え隠れしていた。それらは、頭頂部の髷や跳ね鬢として福寿のこけしに取り入れられていたが、今一つ満足出来るものではなかった。そうした試行錯誤の中で、福寿の頭の中では自身の勘治こけしに対するイメージが出来上がりつつあった。「福寿勘治型」である。頭頂部には髷を描き、鬢は角髪(みずら)形、丸い肩の部分は太い赤ロクロ線で締め、胴には大輪の正面菊を2輪、その脇には蕾も入れる。そこには、若き福寿の勘治こけしへの熱き想いが満ち溢れていた。

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< 9寸2分、1尺5寸 >

福寿の頭の中で、勘治こけしの形のイメージは定かではなかった。そのため、肩の角張りを強くして胴の反りは裾にかけてやや広げ、細身でスマートな形に仕上げてみた。これまでの福寿こけしと比べて精悍なイメージのこけしとなった。1尺5寸の超大寸ものはこれまで福寿が手掛けた中でも最大級のものであった。胴模様の2輪の正面菊は同じものを2つ重ねたのでは単調で面白みに欠けるので、上は縦長に下は横長にして変化を付けた。最上部の添え葉の葉元には小さな髷状の小花を添えている。写真右の超大寸には、下の正面菊の脇から茎を伸ばして蕾を加えている。この2本、同じ様式の2輪菊であるが、右では全体的に丸く柔らかい感じなのに対して、左では尖った感じの菊に描かれているのは顔の表情に合わせたものであろうか。また、髷の様式はこれまでのものと同じであるが、右の超大寸では水引と鬢飾りの描法を変えており水引には緑色も使われている。

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改めて、表情を比べてみよう。右のこけしの表情は、前回の8寸一筆目の目をそのまま三日月形の二側目にした感じで、優しい笑顔になっている。一方、左のこけしでは下瞼を下に膨らました二側目で勘治のこけしに近い描法である。目尻と目頭が尖っているために鋭さが加わり、ややきつい表情のこけしとなった。ここまでの福寿のこけしとは一味違ったこけしである。昭和30年代の中頃の盛の勘治型こけし(いわゆる「盛勘治型」)がこのような目を描いているのが興味深い。

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