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第27話:「極上品」・・・

S3401_20200625153101 戦前の物は当然としても、戦後のものでも昭和30年代くらいまでのものは保存状態があまり良くないものが多い。こけし自体が玩具の一種というような位置づけで、子供の遊び物として扱われていたからであろう。当時の福寿は新型こけしの製作に力を入れており、旧型こけしは製作数自体が少なかった。そういう中から、状態の良いものが残るためにはコレクターの蔵品の中で大切に保管されてきたものと思われる。今回は、この時期の勘治型の中の「極上品」を紹介しよう。

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こちらが、そのこけしである。大きさは1尺2寸。3年前、東京こけし友の会の例会入札で入手したもので、友の会元会長の武田利一氏旧蔵品である。昭和30年代前半の福寿の勘治型で退色が無い極上品であり、何としてでもとの思いで入札に参加したものである。「34.1.21」との福寿の記載があり、製作時期が確定できる貴重なこけしである。前回(第26夜)紹介した2本の勘治型こけしも本品とほぼ同じ大きさで同型のこけしであるが、胴横に蕾は描かれていなかった。本作では左右に4輪の蕾がしっかり描かれているので、特別のお誂え品とも考えられ、武田氏の特注品かも知れない。

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前回の2本の勘治型(左と右)と並べてみた。角髪が太くなっている点、目が水平で太くなっている点など、左のこけしの延長線上の作と思われるが、顔の幅が左ほど広くはないため、左右の目の間隔がやや狭まって表情に気品が出ている。

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本作と前回作とのもう一つの大きな違いは、前髪と角髪の間に描かれる鬢飾りの様式である(青の矢印)。この鬢飾りが西田勘治と深沢勘治とでは違いがあるのである。左は西田勘治の鬢飾りであるが、下から1筆目よりも2筆目の方が長くなっている。右写真の2本は本作と前回の作であるが、本作では西田勘治と同様になっているが、前回作では1筆目が長く2筆目が短くなっており、これは深沢勘治の鬢飾りの様式なのである。この違いは福寿の中でははっきり認識されていて、これ以降の勘治型でも描き分けられるのである。

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