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第12話:「初期型」のその後

S30 昭和28年11月、鳴子にて第3回全国こけし祭りが開催され、深沢コレクションが鳴子町に寄贈された。この寄贈されたこけしは町役場の2階に陳列・保管された。この中には、深沢氏の所蔵となっていたもう1本の勘治こけしも含まれていた。

祖父勘治のこけしの写しを作り、「高勘」伝来のこけしも復活させ、こけし愛好家の評判も上々であったが、福寿の心には満たされないものがあった。「このまま、伝来のこけしを黙々と作り続けるだけで良いのだろうか…」と。そして再び、最初に始めた跳ね鬢こけし(初期型)の完成を目指してこけし作りを続けていった。それは昭和30年頃まで続いたがその後、ぷっつりと見られなくなる。その訳は次回に…。

 

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< 8寸(s30.4.24)、8寸2分 >

「初期型」の大きな特徴は、頭頂部の「髷」と下部が後ろに跳ねる「跳ね鬢」である。この2本も、この2つの特徴を備えている。右こけしは昭和28~29年頃の作。勘治写しを作った後間もない頃で、反りの深い胴の形態にその特徴が如実に表れている。また、跳ね鬢が長くなったのも勘治こけしの影響であろう。但し、髷の様式は勘治そのままではなく綺麗に図案化されている。水平の眉と一筆目に近い二側目も以前に作った「初期型」に戻っている。一方、左のこけしは胴底に「30.4.24」の書き込みがある。勘治の印象も次第に薄くなって胴の形は勘治写しを作る前に戻り、跳ね鬢の長さもまた短くなった。眉目の特徴は右こけしと同様である。但し、髷は大幅に簡略化されてしまった。

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鬢と胴底の署名。

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