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第25話:本格的に勘治型を・・・

S33a_20200621145301 妻の実家の商店の一角とは言え、福寿自身のこけし店を開いてからは、そこに並べるこけしの製作に努めた。駅前という立地から一般客のお土産品としての需要が多く、大きさも6寸から8寸程度のものが良く売れた。商品の主力でもあった新型こけしでは6寸程度のものを中心に店に並べていた。勘治型のこけしは「原」こけしが大寸ということもあって、これまでは1尺前後の大物で作ってきたが、売れ筋である8寸物も作るようになった。勘治型のイメージを確認するために、町役場に保管されていた深沢コレクションの勘治こけしも参考にし、より完成度を高めたこけしとなった。

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こちらが、昭和33年の8寸勘治型こけし。前作(第24夜)では、勘治型として未消化の部分も散見されたが、本作ではそれらが改善されて、立派な勘治型となった。先ずは木地形態。胴は反りが大きくなって、胴裾部も台状になった。肩の山のロクロ線の様式も細い赤ロクロ線を太い赤ロクロ線で挟んだ勘治様式となり、胴上下の緑ロクロ線も太くなっている。胴模様の正面菊も勘治風の菱形菊となったが、20年代のように上を縦長、下を横長に変化させるのではなく、同じ菊を2つ重ねている。二側目の描法は、前作では下瞼が水平で上瞼が上に膨らんだ形であったが、本作では上下の瞼が上下に膨らんで、目頭・目尻が離れ気味になっている。

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33年から34年にかけての8寸勘治型を並べてみた。右が前作、中が本作、左は34年の作。2年程の違いであるが、作風は少しずつ変わってきている。左では目が左右に開いてコケティッシュな表情になっている。

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上記3本の頭頂部の髷である。右では、髷の前髪との付け根が二つに分かれていて、そこが赤く塗られているが、中と左では髷の付け根が繋がっており、髷の中央部の空白部分が縦長に赤く塗られている。勘治の「原」は後者の様式になっているので、「原」に近くなったと言える。本作辺りから、一応本格的な「勘治型」が出来上がったと言って良いだろう。

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上記3本の胴底の署名である。右と中では、鉋の丸溝の中に名前と「作」の字を書いているが、これは「高勘」本家が昭和30年頃から始めた署名の仕方であり、福寿は「高勘」に居た時にはこの書式を使っていない。この書式にしたのは昭和33年になってからで、34年も終わり(左こけし)になると「福寿」のみの署名となり、この書式が以後続くことになる。

 

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