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第14話:「反逆児」か「革命児」か!

S30_20200606151001 「高勘」と言う名門木地屋の出でありながら、そこから「新型こけし」という当時としては未知の部分の多い世界へ飛び出した福寿に対して、周りの同業者の目は必ずしも暖かいものではなく、「反逆児」として敵視されることも多かった。こけしの愛好家などからも「福寿は一体何をしているんだ!」とか「福寿はもうダメだ!」という厳しい声が聞こえてきた。勘治写しを物にし、将来を嘱望されていただけに、愛好家の落胆も大きかったのである。そんな四面楚歌の中、福寿は黙々と「高勘」の家業の木地を挽きながら、新型こけしのことで頭を巡らしていた。福寿の作る伝統こけしの割合は次第に少なくなっていった。

昭和28年、山中登氏を中心に新型こけしの団体である「日本農村工芸作家協会」が設立され、翌29年からは「全国こけし人形コンクール」が開催されるようになった。福寿も当初からこの協会に参加して活動の範囲を広げ、新型こけしの分野での地歩を固めて行ったが、伝統こけし界からの参加は他になく孤軍奮闘であった。伝統こけしの世界では「反逆児」とまで言われていたが、新型こけしの世界では正に「革命児」と呼ばれていたのである。昭和30年の第2回全国こけし人形コンクールでは、「福寿こけし」で朝日賞を受賞した。

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< 1尺2寸7分(s30頃) >

さて、こちらも福寿初期の新型こけしである。昭和30年頃のものと思われる。大きさは1尺2寸7分。第13話で紹介した作では頭と胴の釣り合いに中途半端感が出ていたが、本作ではアンバランス感は無くなって安心して見ていられる。しかし、形にしろ、描彩にしろ、まだまだ旧型こけしの影響が色濃く残っている。胴はラグビーボールのような楕円球体を2つ重ね、その上に大きな頭を載せている。下の球体の方が大きいためにどっしりとしていてバランスは良い。球体の上下には太い黒線と細い赤線のロクロ帯を配し、頭頂部の蛇の目の赤と黒のロクロ線と上手くマッチしている。胴の球体部には1ミリ間隔で細いロクロ線が一面に引かれている。胴模様は上の球体には横菊を、下の球体には正面菊を2つ重ねて、両脇に蕾を添えている。図案的には、完全に「高勘」模様である。鬢は3筆の薄墨で描き、赤い鬢飾りは鬢上部から鬢に垂らしている。眉は太く大きいいが、二側の目は目尻が下がった両瞼に大きな眼点を入れている。

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少し斜め上から眺めて見た。この視線だと全体像が分かってデザイン的にも良い感じである。頭の蛇の目と胴の赤・黒ロクロ線との色彩効果が良く効いている。

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