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第34話:「普通型」完成! (s35_36)

S36_20200714131501 昭和35年に、福寿は新型こけしの2大コンクールで、いずれも最高賞(内閣総理大臣賞、農林大臣賞)をとり、この分野での頂点にたった。その後も新型こけし、旧型のこけしの双方を作っていたが、旧型こけしに向き合う時間は増えて行った。世の中の経済が成長期に入りつつある中で、こけしを含めた民芸品・郷土玩具に対する一般の関心も高まりつつあり、都市のデパートなどで開催される物産・観光展にこけしが出品され、実演のために工人が出掛けて行くこともあった。「高勘」から独立した若き福寿にも実演の話が舞い込み、上京することになった。そんな中で「普通型」と言われる福寿のこけしは完成期を迎えつつあった。

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こちらは、昭和36年の普通型こけし。大きさは1尺。胴底の署名から、昭和36年6月4日に松坂屋(上野)の実演で売られたものであることが分る。日付と場所は購入者の希望で書き入れたものであろう。太い胴に豊艶な菊花を大きく描いた堂々たるこけしであり、この実演のために力を込めて作ったものであることが推測される。このこけしを見ると「普通型」の描彩様式が確立されたことが伺われる。頭頂部の水引は3筆から5筆、前髪は大寸は櫛形で小寸は振分け形、鬢は3筆で鬢飾りは2筆、目は眼点を入れた一側目、丸鼻に2筆の紅口、肩の山のロクロ線は標準様式(下から太い赤ロクロ線、細い赤ロクロ線2~3本、太い緑のロクロ線)、胴模様は大寸は上が横菊で下が正面菊、小寸は二輪の正面菊か二葉の楓である。

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頭頂部と胴底の署名である。水引は大寸(1尺)なので5筆で描かれている。

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こちらは左が昭和35年、右が36年8月。右は上の1尺の小寸版であり、左と比べると胴が太くなっているのが分る。6寸なので水引は共に3筆で、前髪は振分け形となっている。

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