第30話:「普通型」って・・・? (s28)
福寿のこけしと言えば「勘治型」が有名で、国恵(筆者)が収集を始めた頃には「大正型」や「古鳴子型」も一般的になっていた。では、それ以外で普通に作っているこけしは何と言うのかと聞いたところ「普通型」という答えが返ってきた。もう少し凝った名称を期待していたので、余りに普通な答えに拍子抜けになった覚えがある。さて、今回からはその普通型の変遷を辿ってみよう。今のところ、普通型のスタートにあたるこけしは、第11話で紹介した2本のこけし(1本は勘治型でも再紹介)しか見当たらない。その時点では、父盛のこけし(普通型)をそのまま引き継いだこけしであった。その後、盛のこけしは肩が丸く肩の山の低い形のものとなり、福寿の普通型も同様な形のこけしとなっていった。
こちらが、昭和28年頃の普通型のこけしである。大きさは8寸。このこけしは第23話の勘治型こけしと一緒にヤフオクで入手したもので、最初の保有者はあの勘治型と本作を一緒に入手したものと思われる。頭は角ばり、肩の丸みは少なく、胴半ばでやや凹んだ均整の取れた木地形態である。胴模様は、大寸の定番である上に横菊、下に正面菊を配した「高勘」の代表的な様式。但し、下部の正面菊は勘治型に描かれる菱形になっているのが注目される。頭部の描彩も「高勘」の標準的な様式になっている。静かで落ち着いた雰囲気のこけしである。
こちらに、同時入手の勘治型(右:第23話紹介)と並べてみた。胴模様の菱形正面菊や署名の書体の類似性を確認して頂きたい。
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