第33話:躍動感溢れる・・・ (s33_34)
昭和33年2月には長男寿彦が生まれ、福寿のこけし製作に対する意欲は一段と高まっていった。この時期(昭和33~34年)、製作の中心は新型こけしになってはいたが、老舗「高勘」の一員である福寿は、旧型こけしも作っていた。その気持ちの高ぶりは作品に現れ、普通型にも描彩面で他の時期には見られない特徴が現れている。
こちらが、昭和33~34年の普通型こけし3本である。左から5寸、6寸、8寸である。頭の丸みが増していき、右の8寸では大きさもやや小さくなった。この時期の特徴は次の3点。(1)目が細く、一筆目か二側目でも眼点は細い。(2)頭頂部の水引は通常、前髪の結び目から放射状に3~5筆で描かれるが、この時期は結び目から後方に流れるように描かれる。(3)胴の正面菊の模様は通常、花芯を中心にして、各花弁はそこから放射状に描かれるのであるが、この時期では下半分の花弁の先が上向きに描かれる。すなわち、各花弁が躍動感に溢れて踊っているように見えるのである。
こちらが頭頂部の水引である。左2本では、水引の後ろ流れが特に顕著である。
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