第47話:全国こけし祭りで最高賞! (s41)
コンクールで最高賞を取り、鳴子駅前に店(福寿の店)を構え、福寿の勘治型は快進撃を続ける。そして昭和41年9月には地元鳴子の第12回全国こけし祭りで最高賞の文部大臣奨励賞を受賞した。38年の木形子展、39年の全国こけしコンクール、そして41年の全国こけし祭りという当時の3大コンクールで最高賞を取り、三冠を達成したのである。こうして、福寿の勘治型こけしは鳴子を代表するこけしとして、愛好家垂涎のこけしへと成長していった。
このこけしは昭和63年3月に入手したもの。胴底には「66.9.28 松坂ヤ」の書き込みがあり昭和41年9月に上野松坂屋で販売されたものと思われる。41年9月と言えば、正に全国こけし祭りが鳴子で開催された時期で、勘治型がコンクールで大臣賞を受賞した時である。従って、本作は大臣賞受賞時のこけしということができる。木地形態では頭(特に頭頂部)が丸くなり、肩も丸みが増して肩と山の段差が少なくなり、一体化したような形となっている。また赤ロクロ線が密になって白木地の部分が少なくなり、重厚な雰囲気が強くなった。しかしこのこけしの魅力は何と言っても顔の表情で、特に黒目がちで外側に膨れた二重の瞳は強烈で圧倒的な迫力があり、文楽人形を彷彿させる。
上写真は左が(s39)で、右が本作(s41)。胴模様では緑のロクロ線がやや細くなったが、色は濃いめのグリーンとなった。一方、二輪の正面菊は縦長でほっそりとおとなしいものとなり、顔の表情とは対照的である。蕾を包む崩は「原」の勘治こけしに倣って2筆描きとなり、また、蕾の添え葉の筆数は内側が3筆、外側が4筆となり、これが定着していく。
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