第50話:昭和40年代後半 (s48 s50)
昭和40年代も後半に入るとこけしブーム(第2次)も一段と盛り上がりをみせ、鳴子の福寿の店に行っても福寿こけしが店に並んでいることが少なくなっていた。昭和39年から職人として木地を挽いていた柿澤是隆が46年に独立して辞めると、その傾向は強まった。国恵がこけし収集を始め、福寿の店に足を運ぶようになるのはこの頃からである。
こちら、左は昭和48年4月で大きさは尺1寸1分。この年の福寿こけしは肩の山の盛り上がりが大きく、胴中の反りも大きい凹凸の目立つ形態が特徴的である。赤の色が一段と薄く殆どオレンジ色となり、緑の色も薄いために、やや迫力に欠けるこけしとなっている。
右は昭和50年5月で大きさは尺1寸1分。「福寿の店」にて入手。初めて手にした福寿の勘治型こけしであり、店の中を覗いてこのこけしを見つけた時の感激は忘れられない。まだ福寿とは言葉を交わしたことも無く、一般の観光客の一人として訪れていた頃でもある。表情も良くお気に入りのこけしである。胴の反り、肩の山の盛り上がりとも左のこけしと比べて程よく作られ、均整の取れた形態になっている。赤の色も深紅色となり二輪の菊花も筆太にたっぷりと描かれて華麗なこけしとなっている。49年から同様の作風になっているので、48年から49年(50年)への変化は大きい。
顔の表情を比べてみよう。左では、眉・目が顔の中央に寄って目が小さく、ちまちまとした表情になっている。一方右では眉・目の左右の間隔が程良く広がり、黒目も大きくなって、あどけなさの残る愛らしい表情となっている。また頭頂から垂らした角髪の鬢は大きく豊かであるが、下部の後ろ跳ねは少なくなった。
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