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第53話:第2回新しい伝統こけし展(平成4年6月)

Fukujyu_ndento_2nd_kao 平成2年に開催された第1回新しい伝統こけし展は72名の参加者を得て好評裡に終了した。それから2年が経過した平成4年6月、第2回新しい伝統こけし展が開催され、前回より20名以上多い94名の工人が参加をした。この第2回に福寿さんも参加したが、出品したこけしは1本のみ。第1回には12本も出していたので驚きであった。その1本は面描の鼻と口を立体化したもので、これまでの伝統こけしの常識を超越したものであった。昭和30年代、福寿さんが新型こけしに傾倒していた時期、コンクールで内閣総理大臣賞を受賞した「宝珠」や農林大臣賞を受賞した「ぼく」の鼻は後から接着剤で付けたものであった。今回の新伝統では、その部分を本体から削り込んで作ったものであった。まさに、木地技術の究極に挑戦したものだったのである。これは前回の斜め笠や髷よりも更に手間のかかるものであり、この1本に全精力を集中して作り上げたものであった。口絵写真は、その出品作と同手の作の顔の部分である。

Fukujyu_ndento_2nd_2men 

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こちらが、こけし展に出品したのと同手のこけしで、大きさも同じ尺2寸である。胴は肩が角張ったシャープな形態で、肩の山は低い三角錐形で緑の細いロクロ線が一面に引かれている。胴の上下と肩の上面には太い赤ロクロ線が引かれて現代的イメージを感じさせる。胴には、前回から描き始めた大輪の横菊(クラゲ菊)を大きく2つ重ね、間に緑の葉・茎を添えている。大寸の割にはシンプルな描彩である。そして頭部。鼻・口の凹凸が無ければ、勘治型の変形を思わせる面描である。鼻の両側を削り込んで鼻を盛り上げ、口は丸く凹ませて中に赤点を入れている。

Fukujyu_ndento_2nd2_2men

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その年(平成4年)の12月、福寿さんから勘治型原寸と一緒に1本のこけしが送られてきた。同年は鳴子に行くことが出来ず、こけしの送付を依頼したのであった。大きさは9寸。第2回新しい伝統こけし展に出品した作と同様に、鼻と口を立体的に造形したこけしである。用材は「梨」材。胴の部分は肩を丸くした「高勘」の伝統的な形で、大正菊を3段に重ねて描いている。一方、頭(顔)の部分は全く新しい様式になっている。前髪を覆うように描かれた横鬢は後方になびいており、勘治型の横鬢を連想させる。前髪の後ろへの垂れは無く、赤い水引を放射状に描いている。両瞼を描いた三日月目は小さく下を向いており、お神楽に出てくる神子を思わせる雰囲気がある。

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こちら左(平成5年7月)は、右と同手と言えるような木地形態・面描の作であるが鼻・口は立体的には作っておらず、その分描彩面で凝った描き方を使っている。それは、木地の地色を残したように模様を描いている点である。

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そうような描法は,頭頂部の赤い水引の中の赤点(左)、胴の菊模様の緑の大きな丸い花芯の中の緑点(中)、そして胴上下の太い赤ロクロ線の上に散らした桜の花模様(右)の3か所に見られる。地色と同じ色の小円を描いて、その中に赤や緑の点を入れたのならそれほど難しくはないと思うが、地の部分を残してそこに赤点や緑点を入れたとすると、大変面倒な作業になったと思われる。真相は分からないが気になるところである。

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