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第55話:第3回新しい伝統こけし展(平成6年6月)その2

Fukujyu_ndento_3rd_okame_kao 今回は、第3回新しい伝統こけし展に出品された福寿さんの作品の内、木地技術の極みに挑戦したものを見てみよう。この手の挑戦は第2回の展覧会で、鼻と口を立体的に削り出すことで実行していた。今回の展覧会では、その手法を更に進めて「おかめ・ひょっとこ」を作り出している。おかめについては顔全体を、ひょっとこについてはひょっとこの面を被った形態となっている。「おかめ・ひょっとこ」は日本では古来から神楽の道化役として用いられており、おかめは「厄払い」や「魔除け」から「福を招く神様」、ひょっとこは「火を守る神様」、「竈神」として崇められ、二人合わせて「家庭円満の神様」として扱われることも多いようである。こけしの頭におかめを描く様式は遠刈田でも見られ、七福神などと同じようにこけしと言うよりもこけし周辺の木地玩具の一種として扱った方が適切なのであろう。口絵写真は、そのおかめの表情である。

Fukujyu_ndento_3rd_okame3

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こちらが、おかめ・ひょっとこの作品である。左から、ひょっとこ7寸7分(平成6年12月)、おかめ8寸5分、おかめ9寸(平成7年7月)である。左2点は展覧会出品作と木地形態、描彩とも同手であるが、右は頭以外の胴部は胴模様も含めて従来の伝統こけしのものを踏襲したものになっている。展覧会が終わってから1年程経っており、伝統型への回帰の兆しが表れているのかも知れない。

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こちらは、おかめ(右)とひょっとこ(左)の頭部の立体化の拡大である。

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こちらは、おかめ・ひょっとこと表情的には同類と思われる作品である。大きさは9寸2分(平成6年7月)。この作では頭部を立体的に加工するのではなく、胴上下の幅の広いロクロ線の部分を格子状に削り込んでいる。胴の中央にはひょっとこが描かれているので、おかめ・ひょっとこと同類の作品なのであろう。

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格子状のロクロ線を拡大してみた。2ミリ程の格子である。先ず、赤と緑交互のロクロ線を引き、次に胴の縦方向に2ミリ程の溝を胴全面に渡って彫り、最後に赤と緑のロクロ線の境目に鉋溝を入れたのであろうか? こちらも企業秘密で秘匿されたものと思われ、詳細は分からない。いずれにしても大変な手間をかけたものであることは想像に難くない。

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