第55話:第3回新しい伝統こけし展(平成6年6月)その2
今回は、第3回新しい伝統こけし展に出品された福寿さんの作品の内、木地技術の極みに挑戦したものを見てみよう。この手の挑戦は第2回の展覧会で、鼻と口を立体的に削り出すことで実行していた。今回の展覧会では、その手法を更に進めて「おかめ・ひょっとこ」を作り出している。おかめについては顔全体を、ひょっとこについてはひょっとこの面を被った形態となっている。「おかめ・ひょっとこ」は日本では古来から神楽の道化役として用いられており、おかめは「厄払い」や「魔除け」から「福を招く神様」、ひょっとこは「火を守る神様」、「竈神」として崇められ、二人合わせて「家庭円満の神様」として扱われることも多いようである。こけしの頭におかめを描く様式は遠刈田でも見られ、七福神などと同じようにこけしと言うよりもこけし周辺の木地玩具の一種として扱った方が適切なのであろう。口絵写真は、そのおかめの表情である。
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