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第4夜:初めての蒐集の旅

Hiromichi_s47_kao_1 さて第4夜である。こけしに興味を持ち本格的に集めようと決めてからは、こけしに関する文献を読むのが楽しみとなった。「系譜」の次に買ったのは「こけし鑑賞」、鹿間氏の解説文を読みながら、何度も何度もこけしの写真を眺めていた。中でも斉藤太治郎・弘道のこけしには特に魅せられた。

そうした中で最初のこけし収集の旅に出かけたのは、昭和46年の10月に入ってからであった。第1号のこけしを入手してから1年が経っていた。目的地は福島の土湯温泉である。まず最初に飯坂温泉まで足を延ばし、温泉街の土産物店を覗くとあやめ模様のこけしが並んでいた。飯坂温泉のこけしはあやめの胴模様が特徴であると書物で読んでいたので、これがそのこけしだと思って手にとって眺めていると、お店の人が「これが飯坂のこけしで名人が作ったものです。底に名前が書いてあるでしょう。」と説明してくれた。底には「加藤保明」と署名がしてあった。知らない名前ではあったが店の人が言うのだから間違いないだろうと思って尺物を1本買った。飯坂のこけし工人は渡辺喜平であるという事も知らない初心者であった。飯坂はこの1本で満足して、一旦福島に戻りバスで土湯温泉に向かった。

Hiromichi_s47_1 バス停近くの旭写真館にはたくさんのこけしが並んでいた。私が「斉藤弘道さんのこけしはありませんか?」と尋ねると8寸位のものを出してくれた。私が「もう少し大きいのはありませんか?」と重ねて尋ねると尺2寸のものを出してくれた。赤と黒の返しロクロ模様のこけしであった。そのこけしの何とも言えない微笑みと念願の弘道のこけしを手に入れた喜びで胸の中はいっぱいであった。ここではあと荒川洋一の蛸坊主を1本買って帰路に着いた。土湯温泉に泊まった記憶がないので、夜行日帰りの旅であったのだろう。土湯温泉には他の土産物屋や工人の家もあったのに、立ち寄った覚えはない。時間の関係と弘道のこけしを入手できたというだけで十分満足していたのである。この旅で買った3本のこけしの内、現在手元にあるのはこの弘道のこけしだけである。他の2本は行方不明となってしまった。

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