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第6夜:初めての鳴子

Morio_kanji_s47kao_1 第6夜は初めての鳴子の旅の話をしよう。鳴子のこけしに魅せられていた私は、とうとう本拠地の鳴子温泉を訪ねることになる。こけしに寄せる想いは熱く、大学の春休みを利用して得意の夜行日帰り旅行を決行した。日にちは昭和47年3月26日、くしくも私の22才の誕生日であった。鳴子温泉は2年前の東北縦断ツーリング以来である。

Fukujyu_futu_s47 まず福寿の店を覗く。今回は勿論福寿さんのこけしが目的である。店の奥の棚に目指すこけしはかなり沢山並んでいた。福寿さんの普通型のこけしである。私は旅行者の一人として店に入り、気に入ったものを尺と8寸の2本購入した。これで今回の鳴子旅行の第1の目的は達成された。早朝に鳴子に着いたため未だ十分に時間もあるので、土産品店を順番に覗いて回った。こけし通りの「さくらい」や「岸商店」で何本かのこけしを買い、最後に寄った駅前の「まるゆ」では店先に一本の華麗なこけしが目についた。それは高橋盛雄さんの尺3寸勘治型のこけしであった。一旦店を出たもののどうしてもこのこけしが忘れられず、店に戻って購入した。「高勘」に行けば盛雄さんのこけしはもっとあったのかも知れないが、この時にはそこまで考えが及ばなかった。

Morio_kanji_s47 この時買った盛雄さんのこけしは表情に気品がある素晴らしい出来で、私のお気に入りの一本である。盛雄さんのこけしで、その後もこれを越えるものには出会っていない。この旅行では全部で11本のこけしを購入したが、福寿さんの2本と盛雄さんの1本以外はあまり印象に残るようなものではなかった。この旅で私は、こけしは現地を訪問すれば簡単に手に入るものと思い込んでしまった。しかしそれが大きな間違いだと判るまでにそれ程時間はかからなかった。

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