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第15夜:義一さんの盛写し(1)

Yoshikazu_maesakari_kao 第15夜は鳴子の高橋義一さんから届いた盛写しのこけしを紹介しよう。7月2日に送った戦前鳴子時代の盛こけし2本(1本はきくえ)の写しが7日に義一さんから届いた。義一さんには前に秋田時代の盛のこけしの写しを作って貰っていたが、それとは全く対照的な作風(特に面描)のこけしであり、どのように仕上がってくるか楽しみであった。

Yoshikazu_maesakari 今回お願いした1本(盛)は大きさ尺2寸で昭和1桁台、昭和7年の「木形子洞頒布」前後の作と思われるものでネットオークションで入手した。相当に黒くなっているが描彩も何とか確認が出来る。義一さんはここのところめきめきと腕を上げ、コンクールでも最高賞を取って最も脂の乗っている工人。この春には秋田時代の盛写しを成功させており、今回の盛戦前作の写しは満を持してのものであった。送られてきたこけしは写真のように見事な出来で、私の期待に違わない物であった。4日に山形のS氏よりメールがあり、義一さんのこけしが出来ているとの連絡があったばかりである。作8日に早速、義一さんに電話を入れた。11月には神田の「ひやね」で義一さんの個展が開かれることになっており、その準備の最中での製作でもあった。

Yoshikazu_senzensakari_1 義一さんは木地形態から描彩まで、実に忠実に「原」を写してくれる。それだけに写しの制作、特に初作には随分と気を遣うそうである。この尺2寸盛でも寸分違わずに木地形態を写してくれた。「原」の保存状態が良くないために色が残っていない緑のロクロ線と茎葉に関しては、他の盛こけしの描彩を参考にしたとのこと。そして、顔の描彩、これまた見事なまでに「原」の雰囲気を再現してくれた。横鬢まで伸びた大きな眉と、それとは逆に中央に寄った円 らな瞳がこの時期の盛こけしの特徴であるが、これも実に良く描いている。ただ、あまりに集中したため顔の描彩が終わったところで少し気が緩んでしまい、頭頂の水引の描彩に自己の癖が出てしまい、「原」よりも大きなものになってしまったとのこと。それはそれで良い思い出になるだろう。この写し製作が義一さんの今後のこけし製作で何らかの役にたてば幸いである。

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