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第29夜:護のこけし(戦前)

Kozo_senzen_kao_2 第29夜は佐藤護さんの戦前のこけしを取り上げる。戦前作は昭和15年の復活期の作から知られている。この15年の作は角頭で眉目は湾曲が少なく切れ長で眼点が小さいために、「破調の美」とも言えるほどに鋭い表情のこけしである。やがて16年になると頭は卵形に丸くなり、眉目も湾曲が出てきてユーモラスでややグロテスク気味なこけしへと変貌していく。

Mamoru_s16 写真のこけしは16年の7寸。頭は縦長の卵型で胴はなで肩である。前髪は縦に長く左右に振り分けており、15年作と大きく異なる。頭頂の手絡は元結の緑点から後になびくように描かれており、戦後の放射状とはやや異なる。鬢飾りも戦後のように前髪の先端からではなく、根元から描かれている。胴模様は大きな菊を3段に重ねて、首下から襟を描いているが、襟下が1本に纏まっておらず、2筆のまま一番上の菊花に繋がっているため、小原直治の「襟菊」のような感じである。また、通常の襟の場合、2筆で添えられる緑線も2筆の赤線の間に1本しか描かれておらず、他に類例がない)。重ね菊が上寄りに描かれているため胴下部に空間が出来、添え葉は長くなっている。なお、戦後の作では添え葉は緑の丸点となってしまう。

Mamoru_s16_hikaku_1 息子の勝洋さんに写しを作って貰った。平成14年10月作である。木地形態、描彩と上手く纏めており水準以上のこけしであるが、表情は勝洋さんである。護さんの飄々としてあどけなく、そしてコケティッシュな味は出ていない。そこには時代という大きな背景もあるのであろう。そのこけしが作られた時代の雰囲気までも現在のこけしに再現するのは至難の業なのであろう。古品こけしを味わうことは、そのこけしが作られた時代の中に身を置くことでもある。どんなに上手く写しても超えられない壁がそこにはあり、それだけに古品こけしは大事に継承していかなければならないのである。

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