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第25夜:小寸こけしの魅力(1)

今夜から新しい話題を始めよう。小寸こけしである。小寸こけしの定義は明確ではないが概ね4寸くらいより小さいこけしは小寸こけしの範疇に入るだろう。この小寸こけしは大きく2種類に分けられるのではないかと思う。1つは定寸のこけしをそのまま縮小したもの。所謂ミニチュアである。もう1つは定寸ものとは別に小寸として作られたもの。後者は形態的にも描彩的にも系統によって独特の様式があり、これはこれで楽しいものである。一方前者は、ものによっては単に縮小しただけでは様にならないものもあり、全ての定寸こけしが小寸こけしとして成り立つものでもないだろう。

このミニチュアこけしの代表として、土湯系の佐久間芳雄、俊雄の親子を挙げてみたい。芳雄、俊雄は、由吉-芳衛-芳雄-俊雄と続く湊屋の本流直系である。由吉が戦前、太治郎の評判に猛烈な対抗意識を持っていたとの話もある。湊屋の本流としての意識からか芳雄の木地技術、描彩は精緻を極め、特に入れ子のこけしは他の追従を許さない程のものであった。息子の俊雄もその技術をしっかりと受け継いでいた。

Yoshio_toshio_syosun 今回はこの両者の小寸こけし(2寸ほど)である。芳雄(右)はくびれ胴で頭は髷。定寸で見たら太めの胴であるが小寸であるがために却っておもちゃっぽさが出て好ましい(そういう意味では定寸のミニチュアとは言えないかも知れないが)。しかし胴の中央にギザギザ線や波線を配したロクロ模様や赤と緑で描かれた緻密なカセは芳雄の面目躍如と言ったところであろう。きょとんとしたようなあどけない表情が小寸こけしの魅力を遺憾なく発揮している。一方の俊雄(左)はマントを着た太子型(地蔵型)で頭は鉄兜。こちらもやや太目の胴と台が良くマッチしている。胸部に配した真っ赤な花模様が赤、緑、黄のロクロ線に華麗なアクセントを加え、晴れ着を着た幼子を思わせる。一文字に結んだ口と引き締まった眉目が晴れの舞台での幼子の緊張感を伝えている。手の中に入ってしまうようなちっちゃな大きさでありながら、それぞれにしっかりと自己主張をしているこけし。それが小寸こけしの魅力なのかも知れない。

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