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第39夜:つどいの頒布(3)

Noji_momoware_kao_1 今夜も「つどい」の話である。平成6年頃、中目黒の「つどい」が力を入れていた工人の中に土湯系の野地忠男さんがいた。野地さんは二代目浅之助(渡辺和夫)さんの弟子ということから「つどい」のご主人は平成元年に、野地さんに由吉写し(久松旧蔵鉄兜5寸5分)を作らせて好評を得ていた。平成6年の4月下旬に「つどい」を訪れると、野地さんに頼んでた由吉写し(久松旧蔵桃割6寸5分(昭和15年作)」がようやく出来て送って来たと言う。早速見せて貰った。

胴底に「平成六年 試作野地」と署名された由吉写しは全部で5本。梨材で作られていた。「原」のこけしは由吉中期の代表作であり、初期のようなアルカイックスマイルは見られないが、気品のある均整のとれたこけしである。野地さんは写しを作るにあたり原品を長いこと傍らに置いて、そのこけしの持つ雰囲気を十分頭に入れてから取り掛かったとのことであった。こけしに同封された手紙には「由吉型は難しい」と書かれており、この写しを作るために大変な苦労をされたことが偲ばれた。出来上がった5本は一本として同じ物はなく、一本一本に由吉のイメージを思い描きながら作ったことが伺われるこけしであった。

Noji_momoware2syu 野地さんの「試作」(写真右)は精魂込めて作ったもので、「原」の持つ由吉の品格と情味を十分に再現したものであったが、手紙には同様の写しの製作は今後は勘弁して欲しい旨のことが書かれており、本格的な由吉写しへの期待は躊躇せざるを得なかった。ところが翌平成7年2月に同型のこけしを入手することが出来た(写真左)。署名は単に「野地作」。前作と同型の由吉桃割写しであることは明白だが、木地形態は頭、胴ともやや太めになっており、面描、胴のロクロ模様とも伸びやかに描かれ、これはもう写しでは無く野地さん自身のこけしと言って良い仕上がりになっていた。

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