第47夜:初期作の味わい(4)
「こけし辞典」の解説では『稚拙な初作の良さを存分に発揮し、のびのびとしたユーモラスな傑作であった。グロテスクな情味は祖父丑蔵の隔世遺伝とも思われるほど迫真的で、兄弟弟子小林定雄のある作とも通じ将来が楽しめた。』と評された。しかし、英裕さんはその後昭和45年に転業してしまう。従って、この昭和41年(15才)から45年(19才)までの作が初期作と言えるだろう。
写真は英裕さん17才の作。英裕さんは当初こけしに年齢を記載していたので製作年代の判定に便利である。一度16才の署名があるこけしがヤフオクに出たことがあったが、流石に値が上がり入手することは出来なかった。さて写真のこけし、頭は角張った縦長で胴は太い。面描は筆致細くチマチマとした感じで横鬢は長い。向かって左の目は湾曲が大きく上がり気味、一方右目は水平に近く視線は右上方を向いている。このアンバランスさが稚拙であるがややグロテスクな情味を醸し出して、いかにも初期作という感じがする。
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