第65夜:護のこけし(異色作)
佐藤護のこけしは戦前、戦後とその作風がかなり変化している。特に戦後は終戦後の世の中の風潮に合わせるかの如く、当初は殆ど新型かと思えるほどの甘いだけで深みのないこけしを作っていた。やがて昭和30年代になって、伝統こけしが見直されるようになると護さんのこけしにもその影響は歴然と現れてくる。一般的には、護こけしは頭は縦長で、三日月目は上下の瞼が目頭と目尻できちんと繋がっているものが多い。ところが56歳の一時期のこけしは、頭が横広きみで、三日月目の両瞼はかすかに離れている。そのために、他の時期の護こけしとはひと味違う、実に趣のあるこけしに仕上がっているのである。どうしてこのようなこけしが生まれたのか分からないが、ややグロテスクきみに思える表情には戦前作と通じるものを感じる。前に戦後の護こけしはピーク期と直助型の2本あれば十分と記したが、こういうこけしを見せつけられると、更に護こけしにのめり込んでしまうのである。
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コメント
最近、この手の子(6寸)私の元にやってきました。頭のサイズに対して少し大きめの目鼻、肩の落とし具合が頭の形に良くマッチした、あっさりと手際が良く「小気味の好い」こけしです。実は、行きつけの店に一年位買われずに居て「見る度気になる」だったのです。「遂に彼女の眼に口説き落とされ
たか…」と、若干口惜しくもあるのでした。
投稿: こけりん | 2010年11月23日 (火) 22時02分
それは、こけりんさんの所に来るべくして来たんですね。それにしても1年間、よく我慢していましたね。こけりんさんもその護こけしもです。それだけの縁があって手許に来たこけしです。末永く大事にして下さい。
投稿: 国恵志堂 | 2010年11月23日 (火) 22時42分