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第49夜:「美と系譜」のこけし(1)

Tikara_sei_s41kao_1 最近大阪こけし教室の50周年記念で復刻された「教室だより(第31号)」に「こけし・美と系譜」雑感が載っていた。この「美と系譜」はこけしのカラー写真が多く、掲載こけしの質が高いことから、初心者から研究家までに愛読されている名著である。掲載こけし総数632本で、その多くは古品と呼ばれる貴重なものであるが、現存工人の作も約150を載せており、それらは現在でも中古市場などで入手可能である。その中から今夜は鳴子系の大沼力さんのこけしを取り上げてみたい。

Tikara_sei_s41_1「美と系譜」に掲載されているこけしは、誓型と呼ばれるこけしで昭和41年1月作となっている。蒐集初心者だった私が欲しかったこけしであることは第5夜に書いた通りである。大沼力さんは大沼誓さんの4男で昭和2年の生まれ、昭和20年よりこけしを作っている。「こけし辞典」によれば、力さんは昭和41年1月に西田コレクションの大沼誓8寸を復元し、同年2月の友の会例会で発表し注目を浴びたとある。 従って「美と系譜」掲載品は誓型の初作と見てよいであろう。さて、本稿掲載のこけしであるが、胴底に「41.2.13(友の会)」との書き込みがあり、友の会で発表された時のこけしと思われる。このように本来ならもっと注目されて良いこけしではあるが、市場での関心は高くなく、本こけしもヤフオクで出品値で落札したものである。

このこけしは30年代後半から流行りだした所謂「復元こけし」の1つであり、その見所は、「原」のこけしをどれくらい忠実に写しているか、その情味をどれくらい再現しているかにかかってくると思う。本こけしの「原」は黄胴に真っ赤な車菊を3輪描き、横鬢に連なる程の大きな前髪に可憐な瞳を描いた西田コレクションの傑作である。力さんの復元作は肩の山が「原」よりやや高い感じであるが、木地形態、描彩とも上手く誓こけしを写している。特に向かって左上方に視線を向けた表情は見事である。力さんはその後、この西田誓型を継続的に作っているが情味の点で、この初期作を上回る作にはお目にかかっていない。流石に「美と系譜」に取り上げられたこけしだけのことはある。

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