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第61夜:「美と系譜」のこけし(4)

Zenji_kobei_s37_kao 「こけし・美と系譜」には『原作と写し』という項目が幾つかあり、発行当時の現存工人による『写し』のこけしが掲載されている。津軽系の佐藤善二さんはそのトップバッターとして、『(98)原作と写し1』に2本のこけしが紹介されている。今夜は、その善二さんによる幸兵衛型写しの大きい方(8寸)を見てみよう。

Zenji_kobei_s37_1 津軽系の佐藤善二さんは大正14年の生まれ。昭和28年より見取りで木地修業をした後、30年より温湯の盛秀太郎さんの弟子となった。こけしは31年から作っている。善二さんは盛秀さんから「盛秀型」のこけしを作ることを許されなかったため、自身のこけしを作る必要に迫られ、33年に独立した後は幸兵衛型のこけしを作るようになった。善二さんの幸兵衛型が注目されるようになったのは昭和37年1月に米浪蔵の幸兵衛写しを作ってからであろう。それが「系譜」に掲載されているこけし(8寸)である。幸兵衛の特徴を上手く捉えたこの幸兵衛写し(幸兵衛型)は好評で2月には友の会でも頒布されている。本稿掲載写真のこけしは胴底に「37.1.14」との書き込みがあり、37年1月の作で「系譜」手と同時期の作と考えられる。胴よりもやや太めの頭には「原」よりも大振りの髷を付けており、表情おおらかである。

Zenji_kobei_s37_hikaku 写真3の左はやや後の作。殆ど同じように見えるが胴模様には変化が現れている。第1は真ん中に描かれた牡丹の花弁の数。真ん中に引かれた2本の細い赤ロクロ線より下の花弁が、右では4筆描きであるが、左は3筆描きになっている。第2は牡丹上部の3筆の添え葉が、右では牡丹の花の上に寝そべるように描かれているが、左では立ち上げってきている。第3は牡丹下部の添え葉であるが、右では先端が3つに分かれているが、左では1つになっている。特に3番目の特徴は1月作だけに見られて顕著である。善二さんの幸兵衛型には何種類かあるが、この写しをベースにした幸兵衛型は善二さん流にアレンジされながら代表作となっていくのである。

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