第63夜:縮写こけしのこと
「縮写こけし」の頒布は日本郷土玩具協会「こけしの会」が戦前に行ったものであり、その規約では「こけしの代表作60本を選んで、それを一定の寸法に縮写し、鑑賞的であるばかりでなく、研究資料としても後世に伝えようとする企て」とある。監修有坂與太郎、選並に解説深澤要、制作者猪谷春峰。深澤要氏監修とあるように、その頒布されたこけしは単なるコピーこけしの域を超えたものであり、その出来が良かったこともあって、縮写こけしはやがて一人歩きをするようになったのであろう。
さて、今夜のこけしは鳴子系の「大沼竹雄か?」と想定して、2年前ほどにヤフオクで入手したもの。特に「止まった車菊」のような胴模様に興味を憶えた。入手後、大沼秀雄さんに見て貰ったが製作者は判明しなかった。その後、このこけしをモデルにした写しが秀雄さんと息子の秀顕さんによって作られ、伊勢こけし会、名古屋こけし会で頒布された。そして、このこけしと同種のものが柏崎の「痴娯の家」に存在することが判明し、「縮写こけし」であることが確認された。
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