« 第54夜:戦後直ぐの盛こけし | トップページ | 第56夜:「美と系譜」のこけし(2) »

第55夜:初期作の味わい(6)

Kinzo_umekiti_syoki_kao 第53夜で5/9に落札した高橋金三のこけしは梅吉型の初期作と思われると書いたことでもあり、今まで南部系のこけしは取り上げていなかったので、今夜は金三さんの梅吉型の初期作を見てみたいと思う。金三さんの梅吉型初期作については「こけし手帖133号」に箕輪新一氏が一文を寄せて紹介している。

Kinzo_umekiti_syoki_1 それによると、花巻の高橋金三さんは大正12年の生まれ。こけしは33年10月からで、当初は父悟郎の型を作っていた。昭和47年に煤孫実太郎さんの薦めもあって梅吉の遺族の許可を得た上で、2月より正式に藤井梅吉型を作り始めたということである。手帖には紹介文の他に金三さんの初作に近いものとして、重ね菊模様と段胴無彩の2種類の梅吉型が掲載されている。本稿掲載写真はそれとほぼ同時期の作と思われるもの。何らかの梅吉こけしを参考にして作られたものと思われるが、「原」は定かではない。梅吉型としてはまだまだと言った感じであるが、両横鬢は大きく、表情も鋭く、土俗的な雰囲気を持ったこけしである。胴模様を手帖掲載品と比べると、添え葉にぎこちなさが見られ、こちらの方が初作かそれに近いものかも知れない。面描では初期作では丸鼻の底部が丸いU字型であるが、以降は底の尖ったV字型となる。昭和47年の前半辺りまでは初期作と言えるだろう。

Kinzo_umekiti_syoki_hikaku 初期作以降の梅吉型(写真左)と比べてみる。昭和47年の後半辺りから金三さんの梅吉型は格段に向上してくる。面描、胴模様ともほぼ梅吉こけしの特徴を上手く捉えている。頭は横広ぎみとなり、横鬢も程よい大きさで、眉目もゆとりを持って描かれている。頭の赤いカセは真横に引かれるようになり、以降はその様式である。なお、署名は本稿の初期作は「梅吉型 高橋金三」、5/9に落札した無彩こけしは「花巻 高橋金三」、本稿写真左は「花巻 金三作 梅吉型」。そしてこれ以降は「花巻 金三 梅吉型」が暫く続き、やがて「花巻 金三」と変わっていく。「高橋金三」とフルネームで署名しているのは、少なくとも8寸より小さい寸法では、初期作だけのようである。

|

« 第54夜:戦後直ぐの盛こけし | トップページ | 第56夜:「美と系譜」のこけし(2) »

南部系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188678/15056331

この記事へのトラックバック一覧です: 第55夜:初期作の味わい(6):

« 第54夜:戦後直ぐの盛こけし | トップページ | 第56夜:「美と系譜」のこけし(2) »