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第57夜:子持ちえじこ(4)

Yoshinori_komoti_ejiko_kao 東京こけし友の会では、毎年の新年例会には、各地の工人から寄贈されたこけしを福引きの景品として例会出席者に提供してきた。平成13の新年例会では弥治郎の新山吉紀さんの子持ち大えじこが福引き品の中にあった。残念ながら私には当たらなかったが印象に残る作品であった。今夜は吉紀さんの子持ちえじこの話をしよう。

Yoshinori_komoti_ejiko_in その子持ちえじこはえじこ本体は吉紀さんの作で、中には奥さんの真由美さん作の子こけしが入っていたと記憶している。新山吉紀さんは新山吉太郎さんの長男で昭和35年の生まれ、49年より木地修行を始め、55年よりこけしを作っている。こけしは父より伝承の新山福太郎系列であるが、縁あって佐藤栄治・喜一型のこけしも作っている。この子持ちえじこはえじこも子こけしも栄治・喜一型の作品である。どうしてもこのえじこが忘れられず、後日吉紀さんに製作を依頼した。出来上がってきたのは、その年の4月になってからで、高さ5寸5分、径4寸7分の椿材で作られたずっしりと重い立派な作品であった。子こけしも吉紀さんの作で、栄治・喜一型のこけしが5本入っていた。えじこは喜一さんの小えじこにある藁模様のもので、耳の描かれたおかっぱ頭の一側目が何ともおどけなく可愛いらしい。こけしは首の付いた小寸ものの一筆目、中寸ものの三角胴の二側目、胴裾が括れた大寸ものは目の周りを赤く塗ったものと塗っていないものの2本、それに鼓堂コレクションの超大寸(2尺7寸)ものの5本。いずれも大きさ2寸5分という豆こけしであるが、木地形態、面描、胴模様とも大寸ものをそのまま縮小したミニチュアである。それぞれの特徴を良く表しており見事な出来映えである。

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