第58夜:子持ちえじこ(5)
吉紀さんと同じ物を頼んだが出来上がってきたものは少し違っていた。これは作り手の個人差なのか、それとも大分時間がたってしまったために吉紀さんの作の記憶が薄れてしまったためだろうか。まず、親えじこの形。吉紀さんのはふっくらとした楕円形で上部に蓋受けのような覆いが付いており、その上に乗るように頭の付いた蓋がある。一方の真由美さんのはえじこの上部がすぼまっていて蓋受けはなく、頭の付いた蓋の円縁が厚めに出来ていて、下のえじこに被さるような形態である。頭は吉紀作は蓋にしっかり嵌め込んであるが、真由美作は南部系のようにくらくら動く。また蓋の裏には吉紀さんは赤い縁取りをして中にアヤメを描いているが、真由美さんは赤ロクロ線の縁取りのみである。子えじこは大きさ2寸5分が5本で形態の構成も同じであるが、真由美さんのは首付きの小寸物が二側目で三角胴の中寸物が一筆目となっている。これは吉紀さんの方が正しいのであるが、真由美さんのもなかなか可愛らしく、これはこれで面白い。えじこ本体が吉紀さんよりかなり小さめに出来ているためか、子こけしも吉紀作と比べるとほっそりスマートに出来ている。豆こけしはミニチュアであっても多少太めの方が玩具っぽくて好ましいと思うのだが、そこは女性の真由美さんのこと、やはり太めには作れなかったのかも知れない。ご夫婦の作を並べてみると、顔は良く似ているが、えじこは大きさ、形態、描彩に違いがあって楽しいものである。
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コメント
最近変わった(?)眠りえじこを激安で買いました。「真弓の真由美」=真弓材で新山真由美氏が作られたものなのです。昔、丸木弓によく作られ「梓弓」という歌言葉にもなっている木で、秋の今頃は薄いピンクの果実がはぜて朱色の種を覗かせます。材は薄い黄色で、籠の部分に丁寧に描かれた菊や椿の赤や緑を引き立たせていました。表情は平生のこけしの眠り顔そのままで、首はくるくる動くゆるい嵌め込み式になっています。胴底の鉛筆書きの文字に因ると、2002年の作のようです。たまたま「思い付き」で出来たのか、このころ少し纏めて真弓材で作られたのか、一寸知りたくなりました。
投稿: こけりん | 2008年10月21日 (火) 09時48分