第77夜:6月の友の会
先ずは佐久間俊雄について。俊雄のこけしは数が多くないが、その俊雄こけしに魅せられて集中的に集められた方が亡くなられ、その方の家族の方からの依頼で纏まった数の俊雄こけしが入ったそうである。この方の俊雄こけしは、初期の優作が多いのと保存状態が非常に良いのが特徴であるとのこと。今月出品された6種(8本)のこけしも正にその通りであった。
中でも1本だけあった8寸ものは俊雄の代表作に挙げられるほどの秀作であった。俊雄のこけしには大寸物は少ない中で、堂々の8寸。木地形態は裾にかけて広がった三角胴に赤のやや太いロクロ線と紫の返しロクロ。胴下部は緑の細いロクロ線で締めている。典型的な湊屋のロクロ模様であり、簡素な美しさの極致であろう。頭も平らな頭頂部に小さめな蛇の目と前髪を描き、その間を埋めるように赤いカセが入っている。そして何と言っても圧巻なのは、一筆目のように見える二筆のつぶし目である。大きな眉には勢いがあり、つぶし目には凛とした気品が漂っている。良く見かける後年の俊雄こけしの一種異常な表情とは明らかに異なっている。素晴らしいの一言に尽きるこけしであった。
その他の俊雄こけしは小寸物であった。単品の傘が2種、帽子(鉄兜)が1種、帽子の2本組が1種、坊主の2本組が1種であった。いずれも保存完璧で、小さいがゆえの可愛らしさはこの上ない。落札価格もインターネットのオークションなどに比べればかなりの割安であった。私も運良く1種を入手することが出来た。このような俊雄こけしが毎月数種ずつ出品されるとのこと。楽しみなことである。
さて、それ以外の入札品(その一部)も紹介しておこう。写真は左から渡辺喜平3寸、柏倉勝郎6寸、菅原庄七7寸、伊藤松三郎5寸、小椋久四郎6寸5分、奥山喜代治8寸である。
その他、抽選品にも面白いものがあり、私は思いがけずに抽選順が早く当たり伊藤松一さんの古いこけしを入手出来た。これについては、入札で入手できたこけし共々、後日紹介したいと思う。
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