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第69夜:福寿の初期作(3)

Fukujyu_s28_kao 今夜も昨夜に引き続き、福寿さんの初期作の話である。もう1点、私が初期作と思っているこけしを紹介する。私が福寿さんのこけしの中で初期作に分類するための条件(目安)として、以下の点を考慮している。(1)向かって右目が下がっている。(2)横鬢が後ろに跳ねている。(3)署名は胴底の丸い鉋溝の内側に「福寿」と書き外側に「作」と書いている。その他、頭頂部の髷の様式なども考慮する。但し、20年代後半以降、福寿さんは新型こけしに力を入れており、その影響も考慮する必要がある。

Fukujyu_s28 さて、今夜のこけしであるが肩の山がやや低いものの、胴は大きく湾曲し、胴裾にかけての曲線が台状になっている。また、肩の山のロクロ線も太い二本の赤線の間に細い赤線をはさみ、その上部に太い緑線を配した勘治様式である。このことから本こけしは昭和27年に「西田勘治」を見てから後の作と思われる。頭頂部に描かれた髷は第67夜のこけしの髷と比べて洗練されており、福寿さんの工夫が見られる。後跳ねのある横鬢は長くなり、勘治の横鬢から丸い上部を取り除いたような描法である。また鬢飾りは勘治のように前髪と横鬢の間を埋めるように描いたものではないために、正面から見ると飾りがないように見える。優しい一側目は昨夜のこけしと比べて成長した乙女を感じさせる。退色が著しいため定かではないが胴には一面に黄色が塗Fukujyu_s28_mage られていた形跡があり、花弁の多い菊模様を引き立てて華やかなこけしであったことが覗われる。

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