第87夜:佐藤円吉のこけし
佐藤円吉は明治22年の生まれ。明治34年より父茂吉について木地修業を始める。明治42年からは小室の職人となり、こけしも作った。その後、大正13年に一時転業したが昭和10年に復活し、12年からはこけしも本格的に作り始めた。くびれた胴に梅模様を描いた「梅こけし」は昭和14年に米浪氏が持参したこけし絵(大野栄治の梅こけし)を元に作り出したと言われている。円吉の梅こけしはかなりの数が作られており、胴模様も様々である。当初の作はこけし絵に忠実で梅の花数は胴上部に1輪と下部に2輪で、切れ長の目を描いているが、その後は花数の多い梅模様を描くようになり、目もこじんまりして湾曲が大きくなる。
さて、今回入手出来た梅こけしは当初は8寸くらいの大きさと思っていたが、送られて来たこけしは6寸であった。しかし保存状態は極美である。胴の梅の花数が多く、目も小振りなことから円吉後期(10年代後半)の梅こけしと思われる。頭部のおかっぱは後頭部にいくに従って短くなっている。大沼昇治さんの梅こけしに同様のおかっぱ頭があるが、その元になったのはこの型のこけしだったのであろう。梅の木の幹は墨に濃淡を付けて立体感を出している。小寸ながら流石に存在感のあるこけしである。
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