第80夜:小寸こけしの魅力(4)
今回の俊雄こけしの入札品は8寸1本を除いて、残りは2寸前後の豆こけしであった。その殆どが帽子と傘で、シンプルな坊主はこの1組だけであった。こけしの原点は坊主と認識している私は、この1組に入札したが、他に入札者は無く私の手元に落ちてきた。2本とも太子型(地蔵型)であり、右のこけしは桜材と思われる。頭の形、胴の膨らみ、裾部の台の厚さに違いが見られ、また表情にも違いがあることから製作時期は異なるものと思われる。右のこけしは赤を主体としたロクロ線模様にアクセントとして緑線と紫線を加えている。表情はあくまで明敏な微笑みである。一方、左のこけしは赤と緑の交互のロクロ線に、括れた裾部の赤い波線がアクセントになっている。小さな前髪につぶし目のような細い瞳は湊屋こけしの原型を思わせる。夫々の味わいがペアで置くことによって増幅され独特の空間を作っている。小寸(豆)こけしは1本より複数置くことによって面白味が倍加する楽しみがある。
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