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第94夜:伝喜(S33.6)

Denki_s3306_kao 戦後に作られたこけしの中で「定評のあるこけし」というものがある。『19歳の英太郎』とか本ブログでも取り上げた『昭和33年の弘道』などがそれである。これらはこけし界の先人達により評価が定まったもので、多くの人に認められているものである。先週ヤフオクに出品され、首尾良く入手出来た『昭和33年の伝喜』もその一つと言えるだろう。今夜は本日届いたばかりのこの伝喜こけしを取り上げて見たい。

Denki_s3306_syomei 弥治郎系の佐藤伝喜は明治42年の生まれで、佐藤伝内の3男である。大正12年5月より木地修業を始め、こけしも制作した。戦後は昭和32年頃より試作を始め33年6月に本格的に復活した。6月の復活作は弥治郎の面影を宿した可憐なこけしであり、一躍こけし界の注目を浴びることとなった。復活の経緯は「こけし手帖22号」に詳しい。

Denki_s3306 また、伝喜こけしの経年変化は「木の花(第弐拾五号)」で矢田正生氏が『戦後の伝喜こけし』として取り上げている。この『戦後の伝喜こけし』では出発点のこけしとして昭和33年6月の6寸こけしを取り上げており、その特徴として「額飾りの赤は3個で中心は山が高い。左右は緑で2個ずつ内側が小さい。ビンは平たく同じ太さ。ビン飾りは隙間を開けてビンにほぼ直角。旭菊も隙間を開けてゆったり描かれ芯は山が高く葉は細い。」

掲出のこけしは同じ6寸もので、「木の花」記載の特徴そのままである。ただ胴模様が「木の花」手は上下に旭菊を描いているのに対して、本作は胴下部はロクロ線となっている。赤い太ロクロ線を中心に緑と赤の細ロクロ線を配し、2本の紫ロクロ線がアクセントとなっている。薄く引いた黄胴をベースにした鮮やかな配色である。面描は眼点が大きく明敏で、「木の花」手よりも強い表情になっている。本こけしは保存状態が非常に良く、退色は全くない。33年6月の代表作の1本として大事にしたいこけしである。

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