第107夜:津軽の競作2(美津雄)
掲載の美津雄さんのこけしは「盛みつお」署名で、「S62.2」との鉛筆書きがある。美津雄さんは昭和50年代の前半からロクロ模様のこけしを作っているが、この「古型ロクロ」の作例は盛秀辞典ではS59年作が一番古いようだ。段胴にやや縦長気味の丸い頭を付けている。目は湾曲の大きい二重瞼であるがこじんまりとしていて左右に離れ、実に愛らしい。眉の下から頬にかけての目の周りをピンク色に染めているため幼子の表情を見事に表している。胴のロクロ線は4色が同じ太さではなく、中央より下の直胴の部分では黄色のみ太くして単調にならないようアクセントを付けている。
写真3の左は「S60.4.20」の鉛筆書きがある尺もの。大寸のためか胴下部は裾にかけてやや開き気味であり、胴上部にはロクロ線の間に牡丹 模様を配している。頭はやや角張って縦に長く、目の左右の間隔もそれほど離れておらず、またピンクの頬紅は二重の下瞼から頬にかけて控えめに塗られている。こちらは成長した娘さんの表情を表していると言えるだろう。
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