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第103夜:鳴子の競作(松田初見)

Hatumi_kohati_s43kao 今夜は鳴子系の競作を取り上げてみたい。鳴子の高野幸八のこけし(『こけしの美(49頁)』掲載)はロクロ線のみの珍しい模様であるが古鳴子の風格を色濃く残した名品として知られている。しかしながら幸八こけしを継承する工人がいないために作られることはなく、僅かに新型作者の石原日出男さんによる模作が作られただけであった。そんな中、民芸店「ねじめ」の主人が幸八の弟子である松田初見さんに写しを依頼したのは昭和43年のことであった。

Hatumi_kohati_s43 民芸店「つどい」で販売された『想い出のこけし達』(須田穎二著)の第四話に、幸八復元作の製作の経緯についての解説が載っている。それによると、ねじめの主人が『こけしの美』の写真と石原日出男さんの復元作を初見さんに送って製作を依頼したと言う。その第1作の出来が不十分だったために、ねじめの主人は自ら鳴子に赴いて細部の修正を直接依頼したと言う。そうして出来上がったのが、本掲載品(6寸2分:原寸)である。写真による復元であるために見えない部分は想像で作ったと思われるが、縦長の蕪頭に頭頂部は髷を描き、一筆目とおちょぼ口が可憐で古風な趣を醸し出している。やや細身の胴は赤と紫のロクロ線の衣を纏い、胴下部には鉋溝が1本掘られてアクセントとなっている。「原」こけしと比べると頭が小振りで大人しい印象を受けるがまずまずの出来と言えるだろう。

Hatumi_kohati_s43hikaku_2 その後昭和50年代に入って「仙台屋」の依頼で 再度復元作を作ったと『想い出のこけし達』には書かれているが、こけしブームの中で幸八型の製作依頼は多かったと思われる。写真(3)の左は「七九才」と署名のあるこけし。頭が楕円状に長くなって、その分胴は短くなり、胴下部の鉋溝も省略されている。形態的にも「原」こけしからはかなり離れてしまった。また描彩も大まかになってしまったのも年齢的には仕方のないことなのであろう。

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