第126夜:丑蔵(湯田時代)
さて、問題のこけしは大きさが7寸3分で胴底は通し鉋でくり貫いてあり、そこに「陸中湯田 小林辻右衛門」との署名がある。即ち「小林辻右衛門」名義の丑蔵こけしということになる。「こけし辞典」によれば丑蔵が「小林辻右衛門」の署名をしていたのは昭和12年から19年頃のことである。頭はやや縦長きみに角張っているが胴と比べると小さめである。無造作に描かれたとも思われる前髪や横鬢、眉と眼もさらっと描いたように見えるが上瞼は太く、下瞼は細く変化を付けており、円らな瞳はしっかりと前を見据えている。向かって左の眼がやや下がっているためによりあどけなさが漂っているが、その中には芯の強さも見て取れる。頭に比べて太めの胴には大振りの重ね菊が3段に重ねて描かれているが裏模様は無い。この後、遠刈田に帰ると丑蔵のこけしも遠刈田系と言って良いものに変わっていく。湯田時代の丑蔵こけしは独特の味わいを持ったものであるが、それは湯田という土地柄から来たものなのかも知れない。
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