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第126夜:丑蔵(湯田時代)

Ushizo_yuda_kao 今夜は12月の東京こけし友の会例会で入手した佐藤丑蔵のこけしを紹介する。胴の緑色がかなり退色していて保存状態はあまり良いとは言えないものの、典型的な湯田時代の丑蔵こけしであり大きさも手頃。当日の入札品の中では最も欲しかったこけしである。どうしても欲しいこけしの場合、その入札価格をどうするかは一番頭を悩ます問題である。もちろん高く入れれば落札出来る確率も高くなる訳であるが、そこは懐との相談。また次点とあんまり差が付いてしまうのも何となく気恥ずかしいものである。

Ushizo_yuda さて、問題のこけしは大きさが7寸3分で胴底は通し鉋でくり貫いてあり、そこに「陸中湯田 小林辻右衛門」との署名がある。即ち「小林辻右衛門」名義の丑蔵こけしということになる。「こけし辞典」によれば丑蔵が「小林辻右衛門」の署名をしていたのは昭和12年から19年頃のことである。頭はやや縦長きみに角張っているが胴と比べると小さめである。無造作に描かれたとも思われる前髪や横鬢、眉と眼もさらっと描いたように見えるが上瞼は太く、下瞼は細く変化を付けており、円らな瞳はしっかりと前を見据えている。向かって左の眼がやや下がっているためによりあどけなさが漂っているが、その中には芯の強さも見て取れる。頭に比べて太めの胴には大振りの重ね菊が3段に重ねて描かれているが裏模様は無い。この後、遠刈田に帰ると丑蔵のこけしも遠刈田系と言って良いものに変わっていく。湯田時代の丑蔵こけしは独特の味わいを持ったものであるが、それは湯田という土地柄から来たものなのかも知れない。

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