第128夜:文吉さんの小寸物
肘折系(遠刈田系)の佐藤文吉さんのこけしは人気の高いこけしの1つであり、各種の文献でも多くが語られている。そのピーク期のこけしで状態の良いものは今や古品と遜色ない価格で入札でも扱われている。「木の花(第八号)」の『戦後の佳作』でも取り上げられており、味の極限(ピーク)として昭和36年と昭和39年末~43年末の2期を挙げている。また「こけし辞典」では戦後の文吉さんの活動を第1期(昭和31年~37年3月)と第2期(昭和37年夏以降)に分けている。さて今回のこけしは胴底に「三五才」の署名があり昭和32年の作と思われる。文吉さんは昭和33年以降、本格的に文六の模様を取り入れたこけしを作り36年の傑作をものにするのであるが、本作はその少し前の作ということになる。
大きさは5寸2分、小品といえども黒頭で頭頂部の緑の中剃りはかなり大きい。眉は湾曲が大きく、目は円らな一重瞼で愛らしい。また胴模様は遠刈田系によく見られる枝梅を描いているが草書体でさらりと描いており情味がある。この枝梅模様は他に類例が無く、それが入手の動機でもあった。文吉こけしとして評価の高い標準品でもなく、また時期的にもピーク期の少し前で、しかも小寸ものであることからこのような作品になったのであろう。流石の文吉こけしでも小寸物の文献での紹介は少なく、そういう意味からもちょっと珍しいこけしとしてここに紹介した次第である。
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はじめまして 横浜に住む ぼくあずさと申します。
私が昭和30年、四寺廻廊の途中松島で買求めた文吉作こけし について、貴殿の専門的な解説に興味を覚えました。拙blog「ぼくあずさの寺めぐり」のカテゴリー「奥の細道」に駄文を掲載しておりますので、お暇な時に御高覧賜りたく存じます。
投稿: ぼくあずさ | 2008年11月 1日 (土) 09時10分