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第139夜:丑蔵礼賛(3)

Ushizo_63sai_kao 今年初めて入手したこけしを発端として丑蔵こけしについて3夜に渡り時代を遡ってきた。今夜はいよいよ昭和20年代に突入である。昭和20年代は戦後間もない時代ということでこけし自体も作られた数が少なく、後半には新型こけしの台登ということもあって、伝統こけし界にとっては不遇の時代と言って良いだろう。それは丑蔵こけしに対しても同様であって、この時代の文献紹介も殆ど見かけない。しかし流石に丑蔵さんである。ここに紹介するようなしっかりとしたこけしを作っていたのである。

Ushizo_63sai 掲載のこけしは63才作の5寸8分で昭和26年頃のこけしということになる。やはり友の会の入札で入手したものである。丑蔵さんが湯田から遠刈田に戻ったのは昭和20年3月、自動車事故で入院したのが契機となったようだ。以後新地の自宅で木地業に従事することになる。この20年から20年代前半のこけしは殆ど見かけないので、本こけしは戦後の最も早い時期の作品と言ってもよいだろう。「こけし手帖(495)」の<例会ギャラリー>に同じ63才作の8寸が紹介されている。その解説の中で『昭和20年代のこけしの特徴は、胴やや太く、頭はやや丸味が出てきたが、立てて見て縦と横の関係がほぼ同じ位の寸法になっている。笑口であり、表情は湯田後期と続いているように思われる』とある。この評は本掲載こけしにもそのまま当てはまる。頭の形の特徴は小寸がゆえにむしろこちらの方が近いようだ。切れ長の三日月目に細かい放射状の手絡など様式的には紛れもなく遠刈田系なのであるが、表情には湯田時代の肘折的な雰囲気が存分に漂っている。胴上下に2本の太い赤ロクロ線を引くことと丸鼻を描くことは、湯田時代からの特徴をそのまま戦後まで引き継いでいく。なお胴の裏模様は大きな牡丹と蕾を描いている。

これで一応、丑蔵こけしの話は一段落とする。これまで本ブログで取り上げてきた丑蔵こけしを戦前作から晩年作まで一同に並べてみた。主要な時期の作品が揃っており、大きさも5寸から8寸程度と手頃であり、このような形でコレクションを纏めるのが理想であろう。写真は右から戦前(辻右衛門名義)、63才、69才(文六型)、75才、76才、77才作である。

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