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第132夜:征一さんの喜代治型

Seichi_kiyoji_kao 昨夜に引き続き、「写し」ではないこけしの1つとして鈴木征一さんの喜代治型を今夜は取り上げてみたい。肘折在住の殆ど唯一の工人となってしまった征一さんは各地のコンクールでの実演などにも精力的に参加し、運七-喜代治-庫治と引き継がれてきた肘折こけしを守っている。当然のことながら、運七、喜代治の古品の写しも数多く作っている。それらは一定の水準には達しているものの私には今一つ訴えかけるものが希薄な感じがしていたのである。

Seichi_kiyoji_h3 本掲載品は胴の太い紫ロクロと得も言われぬ笑顔に惹かれて入手したものである。胴底に「平成三年 初挽」の本人書き込みがある。木地形態と描彩から「愛こけし」142頁に掲載されている植木昭夫氏蔵の奥山喜代治こけし(昭8)の復元作と思われる。本品は肩の山部にも紫のロクロ線が引かれているが「原」こけしには無い。「愛こけし」の写真で見るとその部分が黒く写っているのでロクロ線があるものと思ってしまったのであろう。従って、このこけしは写真によって復元したものであることが想像される。写真による復元は「原」こけしの一面しか見られないために忠実に写すことは難しい。その分、工人の思いが入り込む余地がある訳で、これが吉とでるか凶と出るかは工人の力量に負うところが多い。本品の場合は良い面が出たものと思っている。喜代治こけしの雰囲気を上手く掴んで、それを征一さんの感性で表現したものなのであろう。

Seichi_kiyoji_hikaku 写真③左は民芸展「ねぎし」による「喜代治写し」。こちらは「原」を見ながら作ったものなので木地形態、描彩とも「原」により忠実な作品と思われるが、如何にも「写し」という感が拭えない。この2本を比べた場合、私は右のこけしの方に魅力を感じてしまうのである。

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