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第141夜:子持ちえじこ(7)

Syoji_koejiko_kao ここ数夜、遊佐福寿さん、高橋正吾さんの入れ子こけしを紹介してきたが、鳴子系の腕達者と言えば桜井昭二さんも勝るとも劣らない名工である。今夜は昭二さんの子持ちえじこを紹介しよう。このえじこは平成12年に私家版小冊子「桜井昭二の永吉型」を製作した記念に昭二さんに作って貰ったものである。小冊子にちなんで永吉型の描彩を施してある「鈴型」の大えじこで、中には永吉型の子こけし2本と小えじこ、小ねまりこの4体が入っている。

Syoji_koejiko 「鈴型」については、「こけし手帖(467)」に青野弘氏が、その取り組みの経緯を紹介している。それによると、昭二さんが子供の頃から神社の拝殿の「鈴」を見ては『カッコいいなあ』とか『この形のこけし(後の鈴型)を作れないか』などと思っていたものを、昭和30年過ぎ、形に出来たのだそうである。青野氏が昭和60年前後に昭二さんに作って貰ったものは形や描彩がかなり変化しており、そのことを正吾さんに指摘されたことから平成11年に当初作った「鈴型」を昭二さんに再現した貰ったものが写真紹介されている。木地はミズキで、大きさ(高さ)3寸5分。帯が太く蓋は内蓋(落し蓋)で、首付近がビリ鉋で少し窪み、顔も上向きとある。

本稿で紹介した「鈴型」は平成12年の初挽き品。青野氏を経由して昭二さんにお願いしたもの。形は青野氏が紹介した「鈴型」とほぼ同一であるが、面描、胴模様は永吉型となっており、上向きの一筆目が実にあどけなく可愛らしい。中央部の太い真っ赤な帯が強烈なアクセントとなっており、昭二さんの造形美の見事さにはただただ関心するばかりである。

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