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第135夜:入れ子こけし(2)

Fukujyu_ireko6_kao_2 昨夜は福寿さんの5重の入れ子こけし(盛作の復元)を紹介した。あの日(平成12年12月)山の工房で福寿さんはもう1本の入れ子こけしを見せてくれた。親こけしは同じ大きさ(尺)で描彩もよく似ている。しかし、この入れ子こけしの中には5本の子こけしが入っていると言う。すなわち6重の入れ子こけしだと言うのである。私は前々から勘治型の入れ子こけしを作って貰いたいと思っていた。しかしソニー頒布の追加やさらに達磨の頒布も重なって、福寿さんはそれらの仕事に忙殺されていた。ところが、この6重の入れ子の中には勘治型の描彩もあると言う。

Fukujyu_ireko6_hikaku 盛さんの5重の入れ子を見せられ、その復元作(写真右)を試作する中で、腕には自信のある福寿さんが「それなら同じ大きさのこけしで6重の入れ子を作ってやろう」と考えたことは想像に難くない。これはもう復元作ではないから中に入れる子こけしも自由な型のものを作れる。その時、福寿さんの頭の中には5重のこけしとの対比をどうするかという考えがあったことだろう。外見(親こけし)は比較するためには同じ形式のこけしの方が良いだろう。とは言え、全く同じ描彩では脳がない。そこで、この親こけしの描彩は今現在作っている普通型こけしのものにした(写真左)。幸いなことに5重の入れ子の親こけしは盛戦前作ということで昔風の描彩である。並べて見れば、その描彩の違いを確認することが出来るのである。この親こけしの比較で一見して分かるのは復元作の方が筆数が多いということである。頭部の水引、鬢飾り、胴の菊花の花弁など皆しかりである。昔は丁寧に描いていたのだなあと思う。それがこけしブームを経て、早く沢山作る必要性から手数が減ってきたのであろう。この2本はそんな復元作との違いも見事に見せてくれる。それが福寿さんの狙いであったのかも知れない。

Fukujyu_ireko6_all Fukujyu_ireko6_in さて、入れ子の子こけしを見ていこう。2番目に大きい子こけしは頭部は橘大正型である。胴模様は大正型の菊を3段に重ねている。3番目の孫こけしは小寸用の勘治型の面描で、胴模様も2種類の菱菊(勘治菊)を描いている。4番目の曾孫こけしは普通型で胴模様も一般的な横菊と正面菊。5番目の玄孫こけしも普通型であるが一筆目で前髪が振り分け。一番小さいこけしは大きさが何と7分で目は点状となっている。これら5本の子こけし達が親こけしの中に見事に収まるのである。今後、この福寿さんの入れ子こけしを上回る、すなわち尺の大きさで7重以上の入れ子こけしは作られるであろうか。そのような木地技術の限界に挑戦するような工人の出現を期待したものである。

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コメント

こんにちは山形のしょ~じです。
福寿さんは入れ子こけしを最後に作っていたのですね。大変勉強になります。

投稿: しょ~じ | 2008年1月 9日 (水) 08時35分

しょ~じさん、ご無沙汰です。
福寿さんはソニー頒布が終わったら、色々な細工物を作るつもりでいたようです。それが実現出来ずほんとうに残念でした。

投稿: 筆者 | 2008年1月 9日 (水) 22時36分

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