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第137夜:丑蔵礼賛(1)

Ushizo_76sai_kao_2 昨夜に引き続き今夜も丑蔵さんのこけしを見てみよう。76歳作である。数年前、東京こけし友の会の入札で入手したものである。大きさは8寸と手頃であるが、大寸ものにも引けを取らない存在感のあるこけしである。昨夜の77歳作とは1年程の違い、しかも大きさ、形態とも同型のこけしであり、並べて変化を比べてみるのも楽しいものである。このこけしを見ていると、「木の花」で76歳作が佳作に取り上げられていることが成る程と頷ける。それ程に力のこもったこけしである。

Ushizo_76sai_2 昨夜の77歳作と比べて頭は更に小さめで縦長であり、胴長の印象が強い。遠刈田系というよりも肘折系の雰囲気が濃厚なこけしである。面描では、小振りな眉目は湾曲が強く鋭角的で、しかも中央に寄っているために集中度の高い表情であるが、視線が前方やや上方向を向いているために直接視線を合わせることが無く飄々といた表情にも見える。2筆の小さな紅口が上品さを醸し出している。一方で前髪や横鬢は雑と思えるほどサラッと描かれている。胴模様は、76歳作と同じ4段の重ね菊を配しているが、こちらは上下のロクロ線の間で上寄りに描かれているために、下部に白地の空間が出来ている。一つ一つの花弁も力強く描かれ、全体的にも均整の取れた立派な胴模様となっている。なお裏模様は描かれていない。保存状態も良く、この時期の代表的な丑蔵こけしとして大事にしている。こうして76歳、77歳作の2本を並べて見ると、やはり76歳作に軍配が上がってしまうのは仕方のないことであろう。

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