第137夜:丑蔵礼賛(1)
昨夜の77歳作と比べて頭は更に小さめで縦長であり、胴長の印象が強い。遠刈田系というよりも肘折系の雰囲気が濃厚なこけしである。面描では、小振りな眉目は湾曲が強く鋭角的で、しかも中央に寄っているために集中度の高い表情であるが、視線が前方やや上方向を向いているために直接視線を合わせることが無く飄々といた表情にも見える。2筆の小さな紅口が上品さを醸し出している。一方で前髪や横鬢は雑と思えるほどサラッと描かれている。胴模様は、76歳作と同じ4段の重ね菊を配しているが、こちらは上下のロクロ線の間で上寄りに描かれているために、下部に白地の空間が出来ている。一つ一つの花弁も力強く描かれ、全体的にも均整の取れた立派な胴模様となっている。なお裏模様は描かれていない。保存状態も良く、この時期の代表的な丑蔵こけしとして大事にしている。こうして76歳、77歳作の2本を並べて見ると、やはり76歳作に軍配が上がってしまうのは仕方のないことであろう。
| 固定リンク
「遠刈田系」カテゴリの記事
- 第993夜:こけし談話会(正吉・英次)(2015.02.09)
- 第992夜:友の会新年例会(H27年)(2015.01.26)
- 第967夜:友の会9月例会(H26)(2014.09.28)
- 第966夜:日本こけし館の入札品(2014.09.24)
- 第957夜:北岡のこけしたち(2)(2014.08.28)
コメント