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第138夜:丑蔵礼賛(2)

Ushizo_69sai_kao もう少し丑蔵こけしを見てみたい。今夜は所謂「文六型」である。このこけしも友の会の入札で入手したもの。おどけたような剽軽な表情が先ず気に入った。退色も殆ど無く保存状態も良い。「これはぜひ欲しい」と思うと、後は幾らで入札するかに頭を悩ますことになる。ネットオークションなら、時間延長の指定があるものが殆どなので、締切時間にパソコンが使えれば順次値段を上げて挑戦を続ければよい。ところが友の会は一発勝負である。もちろん法外な値段を入札すれば落札できる可能性は限りなく高くなるのだが、懐具合と周りの方々の視線がきになる。次点とそれほど差が無く、満足できる金額で入手するのはなかなか難しいのである。

Ushizo_69sai さて、戦後の丑蔵さんのこけしは昭和30年頃までは湯田時代の作風を残しているが、31年以降になると変化が見られるようになり、植木昭夫著「愛こけし」に見られるように種々なものが作られるようになる。その一環として文六型も作れたのであろう。「こけし手帖(463)」の<例会ギャラリー>に丑蔵さんの文六型が載っている。昭和30年作となっており、このあたりが丑蔵作文六型の出発点でなのであろう。品のある表情をしており胴の重ね菊も大人しい。

本掲載のこけしは69才作で大きさは8寸3分。昭和32年ということになる。31年頃からの丑蔵こけしの特徴である縦長で角張った頭、左右の眉・目の中央への寄りがはっきりと表れている。目の高さは中央よりやや下で、眉は上方に描かれているために眉と目がかなり離れている。これも表情をコケティッシュにしている一因であろう。実に剽軽で愛らしいこけしである。肩には文六型の特徴の一つである段が付き、肩の山と胴の上下に紫の波線入りのロクロ線が配されている。ロクロ線の間に描かれた3段の重ね菊も力強い。胴の裏模様はアヤメである。丑蔵こけしの楽しさを十分に味あわせてくれる1本である。

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