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第143夜:稲毛さんの鯖湖こけし(1)

Inage_kin_amae_kao 昨夜は高橋佳隆さんのきん型こけしを取り上げたが、その関連から今夜は稲毛豊さんのこけしを見てみたいと思う。稲毛さんは昭和40年代後半から50年代にかけて、鯖湖こけしの再現に尽力し、特にきん型の復元では数多くの秀作を物にしたが昭和60年の4月に56才の若さで亡くなった。私も当初は稲毛さんの各種復元作を集めていたが、今は特に気に入ったこけしを花模様を中心に集めている。その中から何本かを紹介したい。

Inage_kin_amae_2 「こけし手帖(295)」に伊藤孝氏の「稲毛豊こけしの想い出」という文章が載っている。この年(昭和60年)4月に早逝された稲毛豊さんへの追悼文である。その中で紹介されている四つ花模様のこけし(7寸8分、昭和59年作)は稲毛さんの本人型として最高傑作と言って良いのではないかと思う。木地形態、胴模様に面描が見事にマッチして非の打ち所がない。10有余年の製作歴の中から生まれた稲毛さんの鯖湖型こけしの一つの到達点と言って良いだろう。しかしこのこけしが世の中に広く行き渡る前に稲毛さんはあの世に旅立ってしまったのである。

以来、私もこのこけしを探しているが未だにお目にかかれない。そこでこれに似た雰囲気の稲毛こけしを探してみた。本稿掲載のこけしは中古で求めInage_kin_amae_hikaku たもので胴底に「60.1.15」の書き込みがある。「こけし春秋(NO58)」に金子二郎氏の記事で「稲毛豊のこけし」という文章が載っており、それによると本こけしは「天江きん6寸」の復元作ということになる。「図譜こけし這子の世界」の「原」と比べると、頭頂部がやや丸いのと眉・目が左右に離れ気味であるが良く特徴を捉えており表情の鋭さはむしろ上かも知れない。更に後日入手した同様の稲毛こけしを写真3(左)で紹介する。こちらは7寸で「59.9.16 ヨコハマ」の記入がある。前述の金子氏の記事によれば、横浜こけし会で頒布された忠蔵型ということになる。天江型よりも頭がより横広になり、所謂平頭の範疇に入るのかも知れない。

こうして見てくると、手帖掲載の稲毛こけしは、これらの復元作を作る中から生まれてきたであろうことが容易に推察されるのである。本掲載の「天江きん」の頭を縦に少し長くし、眉・目を中央に寄せて、胴模様の花を四つ花に変えれば、それは手帖の稲毛こけしそのものである。この59年に稲毛さんは、5月の全日本こけしコンクールで通産大臣賞を、また6月の第2回伝統こけし展では、この4つ花こけしで優秀賞を受賞している。稲毛こけしの一つのピーク期であったと言えるだろう。稲毛さんはそのピーク期に逝ってしまったのである。

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