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第150夜:30年代の健三郎こけし

Kenzaburo_s32_kao 今夜でこのブログも150回を数えることになった。とは言え目指す先は遙かに遠く、新しい掲載内容を探すためにこけしの文献を読み返したりしている。そんな中から今夜は「木の花」の掲載記事から見付けた大沼健三郎さんのこけしを取り上げてみたい。大沼健三郎さんは明治27年の生まれ。昭和40年代から始まったこけしブームでは鳴子系の長老として人気を博した工人でもあった。

「木の花(第拾八号)」の『ピーク期のこけし④』で中屋惣舜氏は戦前の健三郎さんのこけしを写真で紹介すると共に昭和38年から41,2年頃がピーク期だと解説している。そして次の「木の花(第拾九号)」の『ピーク期のこけし⑤』ではそのピーク期のこけしを写真で紹介している。その一方で、「昭和28,9年から昭和30年代前半にかけては古風であるが、野暮くさく、一言でいえば大味な作風で人気のないこけしであった」とも語っている。

Kenzaburo_s32 今私の手元に1本の健三郎こけしがある。2年ほど前にヤフオクで入手したもので結構気に入っているこけしでもある。胴底には63才の署名があるので昭和32年頃の作ということになる。健三郎さんの昭和38年からのピーク期に対して異論は無いが、30年代前半のこけしもそれなりに評価できるのではとないか思うのである。この頃になると胴もそれほど太くなく、本稿のこけしでは肩の山にもウテラカシではなくロクロ線を引いている。頭は縦長で眉には勢いがあり、眼点は大きいが甘さはなく、むしろ鋭い表情である。6寸という大きさのためが胴模様も菱菊1輪が胴一杯に大きく描かれていて好ましい。ブルーがかった緑が保存が良いためか、赤との対比で実に鮮やかである。決して「野暮くさい」の一言では片付けられない魅力を持ったこけしである。このように一般的な評価があまり高くないこけしの中から、自分好みのキラリと光るものを持ったこけしを見出すのも、こけし収集の楽しみの1つと言えるだろう。

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