第152夜:2/11のヤフオク
入札の締切は21時半から22時の間で文六の方が先であった。夕方の時点では文六の方が77,000円で先行しており、その時点で太治郎は51,000円となっていた。ここからの競り合いでどこまで値が上がるかが一つの焦点であり、特に延長戦での戦いに興味が引かれるのであるが、最近は過度の競り合いは無くなったようだ。結局、文六はそのままの価格で終了。太治郎も無風状態でそのままかと思っていたところ締切間際の戦いで、84,600円まで上がって終了した。
さて、文六こけしであるが、大きさは尺弱で鼓堂コレクションの一品とのコメントがある。胴底に「及位 佐藤誠治 文六作」との署名があり、誠治名義の文六こけしということになる。「木の花(第拾四号)」の『連載覚書 文六こけし』によれば誠治名義の文六こけしは昭和13年頃とのこと。今回のヤフオクの文六は「木の花」掲載の誠治名義文六と比べて頭がかなり長めである。また目もやや短いことから、製作時期はやや後かも知れない。胴模様は旭菊の2段重ねで、これは「木の花」にも類例がなく珍しい。保存状態は古色が付き緑の退色もかなり進んでいるが、ある時期の文六の味わいを十分に堪能出来るこけしと言って良いであろう。
次ぎに太治郎こけしであるが、こちらは署名はなく「仙台 陸奥売店」の印が押されている。大きさは尺で、木地のシミが少し出ているようであるが、退色は殆ど無いようで保存状態は良さそうだ。太治郎こけしは保存状態が重要な要素になっていると思う。さて製作時期は昭和15、6年頃とコメントに記載されている。「木の花(第参拾号)」の『連載覚書 太治郎こけし』の掲載こけしの作例からも、その頃と思われるが、全体的に丸味を帯びた胴の形態、特に肩の丸味が珍しい。木地形態がやや甘くなっているということも言えるだろう。保存の良い太治郎ということで価格によっては参戦という気持ちもあったが、太治郎は中期の作を2本持っていることもあり、晩年作ということで結局見送った。それにしても最近は、古品が良く出てくるようになった。2日後に締切を迎える2本(文六と盛秀)は現時点で、文六が56,000円、盛秀が197,000円となっている。最終的にはどのような価格で落札されるのか注目していこう。
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