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第166夜:国分栄一の鎌文型

Kokubu_bunichi_kao 入札に出品される戦前の古品には今の時代では決して再現できない「時代の香り」が付いており、惹かれるところが多い。とは言えその絶対数が少ないために、それを手元に置いて生で鑑賞する機会は少ない。そんな原品を持てない欲求を満たすために復元(写し)が持てはやされ、昭和40年代の後半から50年代にかけては盛んに作られ、各地のコンクールでも上位を占めることが多かった。弥治郎系の国分栄一さんもそんな工人の一人であった。今夜は昨日の友の会で入手した国分さんの鎌文型を取り上げてみたい。

国分栄一さんは昭和7年の生まれ、20歳の時に鎌田文市さんの弟子となり木地修業を始めた。当初は新型こけしの木地下を挽いていたがやがて伝統こけしに傾倒していく。昭和49年頃からは勘内型に取り組み、優れた写しを作成して評価も高く、53年の全日本こけしコンクールでは内閣総理大臣賞を受賞している。国分さんは勘内型以外にも各種の写しに挑戦しており、中でも師匠の鎌文型は数多く作った。「木の花(第拾弐号)」の<同人座談会>「最近のこけしを語る」の中では勘内型と比較して『鎌文型の方が良い出来ではないかな。』『鎌文型は楽に作っている。本人は力作のつもりではなく、それが成功の原因だろう。』 そして総評として『鎌文型の方もなかなか良い。こちらももっと作ってほしい。』と結んでいる。

Kokubu_bunichi_hikaku 友の会の3月例会に出品されていた中古こけしの中にちょっと欲しいなあと思わせるこけしがあった。本稿掲載の国分さんの鎌文型(写真右)である。大らかな太い筆でさらりと描かれた顔は視線をやや左に向けて不二家のペコちゃんを思わせ、実に愛らしい表情をしている。「木の花」の評にあるように復元などと大げさに思わず、自身の感性で描いたものなのであろうか。胴底には「51.11.23」という前所有者の書き込みがある。実はこれと同型のこけしを既に1本持っていた。こちら(写真左)は51年の3月27日に下井草の「おおき」民芸店で購入したもの。当時「おおき」には足繁く通っていて国分さんの復元作も入荷する度に購入していた。今回のこけしと比べると、こちらには国分さんの大いなる意欲を感じる。目鼻が中央に寄った面描は凝視度が強く、ピーク時の久治こけしを思わせる。充実感に溢れたこけしと言えるだろう。この約8ヶ月でのこけしの変化はかなり大きいものがあると言えるだろう。どちらが良いかは好みが分かれるところであろうが、私はいずれにも甲乙付け難い魅力を感じている。この頃の国分さんのこけしは多数存在し、安価で容易に入手出来る。こけしブーム期に大量に作られたこれらのこけしも、このように比較しながらじっくり見直して見るとなかなかに見所もあり、こけし収集の醍醐味を味あわせてくれるものである。

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