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第161夜:ピーク期とその周辺のこけし(2)

Teruo_sesuke_s39_kao 昨夜の続きである。今夜は「木の花(第5号)」の「戦後の佳作」で取り上げられた遠刈田系の佐藤照雄さんのこけしである。一般的には「ピーク期のこけし」と言うとある時期に作られたこけし全体を指すことになり、一方「佳作」というとある特定のこけしを指すことになる。従って「ピーク期のこけし」=「佳作」とは必ずしも言えるものではないが、ピーク期のこけしの中には佳作が多いということは言えるだろう。そういう意味合いから照雄さんのこけしを取り上げてみた。

Teruo_sesuke_s39 本掲載品も先々週のヤフオクで落札したものである。胴底には「四十五」という照雄さん自身の署名があり、45歳の時の作であることが分かる。また前所有者の記入と思われる「39.1.4」という文字からは本作が昭和38年から39年頭に作られたことが推測される。さて「木の花」では「佳作」として、昭和39年作の本人型と昭和41年作の静助型を挙げている。また「照雄のこけしの戦後の変化」として第2期(昭和35年~39年まで)は「本人型」と「静助型」を、第3期(昭和40年以降)は「静助型」を作っていると説明している。この分類によると本掲載品は第2期の静助型ということになる。「木の花」では第2期の静助型の例として「こけしガイド(再販)」掲載品を挙げているが、これは「第76夜」で紹介した43歳のこけしに近い。本掲載品は、むしろ「木の花」掲載の41年静助型と雰囲気が似通っている。頭の形は41年作の方がやや横広きみの印象を受けるが、胴の形態は41年作がほぼ直胴であるのに対して、本作は静助の現物に近い三角胴で胴模様も上下に2本ずつの赤ロクロ線を配した重ね菊を描いている。41年作の方は目にアクセントが見られるので、ピーク期という印象を受ける。とすると、本掲載こけしはピーク期前夜のこけしと言えるのかも知れない。いずれにしろ第2期末から第3期にかけての時期(昭和39年頃から41年頃)が照雄こけしのピーク期と言って良いのであろう。

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