第176夜:古型ロクロ続編2(陽子)
陽子さんが、この古型ロクロB型を最初に作ったのは平成9年12月であるということは先に述べた。「盛秀一家のこけし辞典(Ⅱ)」を見てみると、製作No467として5寸の古型ロクロB型が載っている。同辞典によれば平成9年はNo521迄ということになるので、この掲載こけしが初作かそれに近いこけしということになるのだろう。さて、本稿のこけしはNo534で平成10年2月13日作となっている。初作から3ヶ月程度しか離れておらず「初期作」と言っても良いであろう。辞典の作と比べて二重の瞼が縦に長く、しかも眼点がより中央に寄っているために所謂「三白眼」のような異様に鋭い表情となっている。木村弦三コレクションを見てきたこともあって、このこけしには津軽こけしの源流に漂う「おどろおどろしさ」さえ感じられるのである。同辞典にはNo547も掲載されているが、本こけし程の迫力は無くなっている。その後のNo807では更におとなしい表情となっていく。第171夜のこけし(左)と並べてみた。表情の違いをご覧頂きたい。また形態的にも本稿のこけしは胴下部が裾にかけてやや広がっているのが分かる。これは最近の恵介さんの古型ロクロにも見られる特徴であり、興味深いことである。
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