第174夜:木村弦三コレクション展示
24日から26日まで、東北の3大桜の名所を巡るツアーに参加してきた。通常だと5月連休が見頃のところ、今年は開花が早いということで10日も早めたにも拘わらず「花見」としては悲惨なツアーとなってしまった。1日目の北上展勝地のソメイヨシノ、2日目の角館のソメイヨシノと垂れ桜とも、桜の木は新緑の緑に変わっていた。最終日の弘前公園では、お堀沿いのソメイヨシノは5分散り状態であったが、中心部の垂れ桜はまだ満開であった。この垂れ桜は今月一杯は大丈夫そうとのこと。この弘前公園にある弘前市立博物館では「津軽のかたち」という企画展が開催されており(4/5~6/1)、その中で『木村弦三コレクション』が展示されていたので、今夜はその紹介をすることにする。
ツアーの弘前公園での自由時間は1時間半ほど。限られた時間の中で「お花見」と「こけし鑑賞」を堪能できたのは、いつもお世話になっている地元のA氏のお陰。いつもながら感謝!感謝!である。こけしに関する展示は、1つのフロアーの半分位を占めており、そこに大きな展示ケースが2つと、こけしの製作工程の各段階の半完成品(奥瀬鉄則作)が5本ほど飾られていた。展示ケースの1つには、斉藤幸兵衛、佐藤伊太郎、盛秀太郎の古品こけしの群像とえじこやずぐりが展示されている。木村弦三コレクションのこけしは『津軽のこけし』(弘前市立博物館刊)に写真紹介されているが、それ以外では幸兵衛の尺2寸ほどの直胴ロクロ線模様で眉の太い作、盛秀の「島津型」が目を引いた。もう一つの展示ケースにはそれ以外の津軽系こけし(山谷権三郎、毛利茂太郎、佐々木金次郎、長谷川辰雄、島津彦作、島津彦三郎、村井福太郎、間宮明太郎、三上文蔵、川越謙作)が展示されている。ここでは「長谷川良二」と記載された1本、また村井福太郎の尺5寸ほどの大作は横鬢の上部の飾りに写実的なリボンが描かれていた。そして写真では分からないもう一つの大きな発見は、長谷川辰雄のこけしの頭に黒く塗られた紙が貼ってあったことである。辰雄のこけしはオカッパ頭が多いが、内数本には頭頂部のかなりの部分を覆うように円形の紙が貼ってあるのである。2本のこけしはこの紙が剥がれて頭頂部には木地の地肌が見えており、まるで河童のような頭部になっているのである。どうしてこのような紙を貼り付けたのかは分からない。知っている方があれば教えて貰いたいものである。
弦三コレクションのこけしは水に浸かったために胴模様の殆どは消失している。それにも拘わらず、その群像の持つ津軽の土俗的な一種不気味とも思えるグルーミーさの迫力は見るものを圧倒する。もしこの中に戦後の盛秀の睫こけしを置いたならば、それは異質なものとして排除されるだろう。ここには、戦後のこけしとは一線を画する全く別世界のこけしが存在することを痛烈に感じされる展示である。まだ1ヶ月以上展示されているので、ぜひ見ることをお勧めしたいと思う。(写真は弘前市立博物館のホームページより転載しました)
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