第180夜:津軽こけしの源流を求めて(恵介1)
古い盛秀こけしということになると、「こけし這子の話(復刻版)」で紹介されたこけしが先ず頭に浮かぶ。その写真十一図(陸奥)の中には「古型一種と新型3種」が掲載されている。それらは「こけし這子の話 復刻本記念 こけし控」ではカラー写真で再掲されているほか、別に1本が掲載されており、都合5本ということになる。そして「図譜『こけし這子』の世界」では更に1本増えて6本がカラーで掲載されているのである。この内旧型1本を除く残りの5本までは恵介作を入手しているので順次紹介していきたいと思う。
今夜は、「図譜『こけし這子』」の世界」158番のこけし。恵介さんはこのこけしを結構早くから作っており、「盛秀一家のこけし辞典(Ⅲ)」では<H14.10.31>作、No152<H15.7.4>作、No238<H15.11.21>作の3本が掲載されている。なお、恵介さんのこけしはH14年は試作期であり、H15年よりナンバリングをして本格的に作っている。本稿のこけしはNo161<H15.7.12>7寸(写真右)とNo1270<H18.4.7>4寸(写真左)。7寸の方は「盛秀辞典」のNo152と同時期の作である。「原」こけしは大きさ7寸4分で胴中程に括れのある太胴であるが、恵介こけしの方は形態がずっとスマートである。円盤から4本の手が伸びたような特異な胴模様から、158番のこけしと推定したが、面描でも上唇の描線が波打っているなど、「原」こけしをかなり誇張した部分も見られる。眼点が大きいためか、「原」こけしに見られる鋭くグロ味を帯びた独特の表情には未だなっていない。頬紅の効果もあってか、やや大人しい表情に見えるが、初々しさの残る若々しいこけしは将来への期待が持てる。4寸は小寸のためやや太いタッチでさらさらと描いた感じである。
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